山口県の先人たち 山口県ひとづくり財団

タカオカ邦彦 撮影

　1910（明治43）年、阿武郡(あぶぐん)椿郷(つばきごう)（現(げん) 萩市）で、9代三輪雪堂(せつどう)の三男として生まれました。本名は節夫(さだお)。三輪窯(みわがま)は江戸(えど)時代、萩藩(はぎはん)の御用(ごよう)を務(つと)めた窯元(かまもと)でしたが、明治維新(いしん)後は庇護(ひご)がなくなり、厳(きび)しい状況(じょうきょう)でした。節夫は旧制(きゅうせい)萩中学校卒業(そつぎょう)と同時に、兄の10代休雪(きゅうせつ)（後の休和(きゅうわ)）を助けて家業に従事(じゅうじ)します。31歳のとき、川喜田(かわきた)半泥子(はんでいし)から自由な創造性重視(そうぞうせいじゅうし)の作陶姿勢(さくとうしせい)を学び、大きな影響(えいきょう)を受けますが、1944（昭和19）年に軍隊に召集(しゅうしゅう)されました。戦後(せんご)は自分だけの表現(ひょうげん)を茶陶(ちゃとう)に追求(ついきゅう)して、萩焼の定番とされた枇杷釉(びわゆう)だけでなく、兄が藁灰釉(わらばいゆう)を改良(かいりょう)して開発した「休雪白(きゅうせつしろ)」を使って白萩手(しらはぎで)など個性的(こせいてき)なさまざまな作品を生み出します。

　1967（昭和42）年、57歳(さい)で11代休雪を襲名(しゅうめい)。73歳のとき、重要無形文化財(じゅうようむけいぶんかざい)「萩焼」の保持者(ほじしゃ)、いわゆる人間国宝(にんげんこくほう)に認定(にんてい)されました。そのころから大量(たいりょう)の粗砂(あらずな)を素地(そじ)に混(ま)ぜた荒々(あらあら)しい肌合(はだあ)いと大ぶりな器形(きけい)の茶碗(ちゃわん)を生み出し、「鬼萩(おにはぎ)」と名付けます。93歳で長男に家督(かとく)を譲(ゆず)り、壽雪と改名。その後も豪快(ごうかい)な作品を制作(せいさく)し続け、2012（平成24）年に102歳で亡(な)くなりました。

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