日本の毛織物(けおりもの)工業の父

井上 省三

いのうえ せいぞう

山口県文書館 蔵

明治(めいじ)時代の実業家

1845(弘化(こうか)2)年〜1886(明治19)年

　1845（弘化2）年、厚狭郡(あさぐん)宇津井(うつい)村（現(げん) 下関(しものせき)市）の素封家(そほうか)・伯野(はくの)家に生まれ、幼くして同郡厚狭村（現 山陽小野田市）の厚狭毛利家(もうり)の家臣・井上家の養子(ようし)となりました。明治元（1868）年、山口の兵学校(へいがっこう)で蘭学(らんがく)を学びます。やがて木戸(きど)孝允(たかよし)に才能を認(みと)められ、上京。1870（明治3）年、ドイツのベルリンに留学(りゅうがく)します。初(はじ)めは兵学を学びますが、国を強くするには産業の育成が必要だと考え直し、毛織物工場に職工として入って製絨技術(せいじゅうぎじゅつ)（ラシャなどの毛織物を織る技術）を身に付けます。
　1875（明治8）年に帰国。その後、内務省(ないむしょう)に出仕します。このころ国は殖産興業政策(しょくさんこうぎょうせいさく)の下で毛織物工場の建設を決定し、その準備を省三に命じます。省三は機械(きかい)の購入(こうにゅう)などのため再(ふたた)びドイツへ。翌(よく)1877（明治10）年、ドイツ人の妻(つま)を伴(ともな)って帰国。1879（明治12）年、東京に、日本初の毛織物工場である官営(かんえい)の「千住製絨所(せんじゅうせいじゅうしょ)」を開業させ、初代(しょだい)所長として日本の毛織物工業の発展(はってん)の礎(いしずえ)を築(きず)きます。しかし病に倒(たお)れ、志(こころざし)半ばで1886（明治19）年、満(まん)41歳(さい)で亡(な)くなりました。

井上省三クイズ

問題1

井上省三がドイツから帰国して発展させた日本で初の工業は何ですか。
A
毛織物工業
B
化学繊維工業
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