山口県の先人たち 山口県ひとづくり財団

山口県立山口博物館 蔵

1783 (天明3 )年、三隅村(みすみむら)(現 長門(ながと)市三隅)で萩藩の中級武士(ぶし)の家に生まれました。藩財政(ざいせい)が非常事態(ひじょうじたい)に陥(おちい)っていた1838(天保(てんぽう)9)年、藩主・毛利敬親(もうりたかちか)から財政立て直しの責任者(せきにんしゃ)として抜擢(ばってき)され、改革を実行します(天保の改革)。

　その中には、下関(しものせき)に寄港(きこう)した諸国(しょこく)の廻船(かいせん)に貸倉庫業(かしそうこぎょう)や金融業(きんゆうぎょう)を行う越荷方(こしにがた)の充実(じゅうじつ)、産物専売制(さんぶつせんばいせい)の推進(すいしん)もありました。これによって藩財政を大きく改善(かいぜん)したほか、中国でのアヘン戦争(せんそう)などの欧米列強(おうべいれっきょう)の脅威(きょうい)を背景(はいけい)に洋式砲術(ほうじゅつ)の導入(どうにゅう)などの対外防備(たいがいぼうび)も強化しました。

　命を度々(たびたび)狙(ねら)われながらも改革を進めましたが、越荷方の充実は幕府(ばくふ)の圧力(あつりょく)を、家臣(かしん)の借金返済(しゃっきんへんさい)を救済(きゅうさい)する大胆(だいたん)な政策(せいさく)は商人の不満(ふまん)を招(まね)き、失脚(しっきゃく)。三隅で子弟(してい)の教育を始め、周布政之助(すふまさのすけ)や吉田松陰(よしだしょういん)にも影響を与え、満(まん)72歳(さい)で亡(な)くなりました。

参考資料

• 九州長州文化図録撰書弟九号　長州維新の道　下巻　萩往還　維新を成した政治と教育（遠藤順子 発行 　遠藤薫 編）図書出版のぶ工房

関連施設

• 山口県立山口博物館