山口県の先人たち 山口県ひとづくり財団

イギリス留学時代の井上勝『子爵井上勝君小伝』(山口県文書館 蔵)より

1843(天保14)年、萩(はぎ)藩士(はんし)の井上家の子として生まれました。幕末(ばくまつ)、伊藤(いとう)博文(ひろぶみ)ら5人でイギリスへ密航(みっこう)留学(りゅうがく)したいわゆる「長州(ちょうしゅう)ファイブ」の1人で、ロンドン大学で学び、鉱山(こうざん)や鉄道の現場(げんば)で働(はたら)いた後、1868(明治元)年に帰国しました。
新政府(しんせいふ)に登用(とうよう)され、鉄道の建設(けんせつ)が始まると鉄道関係の役職(やくしょく)に就(つ)き、やがて政府の鉄道部門の責任者(せきにんしゃ)である鉄道頭(てつどうのかみ)となりました。1877(明治10)年に鉄道局長になると、外国人(がいこくじん)技術者(ぎじゅつしゃ)に頼(たよ)っていた鉄道建設からの自立を目指し、日本人技術者の養成所(ようせいじょ)を設立(せつりつ)。そして京都—大津間の工事では、自ら現場を指揮(しき)し、初めて日本人だけで完成させます。また、中山道(なかせんどう)経由(けいゆ)と決まった東京—京都間は難所(なんしょ)が多いことを伊藤博文首相に説(と)き、東海道(とうかいどう)経由への変更(へんこう)を実現(じつげん)しました。その後、汽車製造(きしゃせいぞう)合資会社(ごうしがいしゃ)を設立し、機関車(きかんしゃ)の国産化(こくさんか)に力を尽(つ)くし、満(まん)67歳(さい)で亡(な)くなりました。

参考資料

• きらり山口人物伝 Vol.3（夢チャレンジ出版事業刊行委員会 制作）山口県ひとづくり財団


• 東海道線誕生（中村建治 著）イカロス出版


• 東海道線誕生　〜鉄道の父・井上勝の生涯〜（中村建治 著）イカロス出版


• 奮発震動の象あり　防長教育史の人びと（松野 浩二 著）大村印刷（株）


• その後の長州五傑（松野 浩二 著）大村印刷（株）

関連施設

• 山口県文書館