内海五左衛門

「都稲(みやこいね)」「穀良都(こくりょうみやこ)」の父

うつみござえもん

高森の久田(くでん)に明治37年に建立された都稲の碑（周東総合支所地域振興課提供）

江戸(えど)・明治(めいじ)時代の米の品種改良者(ひんしゅかいりょうしゃ)

1805(文化2)年〜1890(明治23)年

　1805（文化2）年、高森（現(げん) 岩国市周東(しゅうとう)町）に農家の長男として生まれました。『周東町史』によると、柔道(じゅうどう)に励(はげ)み、立派(りっぱ)な体を見込(みこ)まれ、小番手（足軽(あしがる)・中間(ちゅうげん)など）となったといいます。
　1851（嘉永(かえい)4）年、萩藩(はぎはん)の藩主のお国入りの行列に加(くわ)わり、西宮(にしのみや)（現兵庫(ひょうご)県西宮市）にさしかかったとき、稲掛(いなかけ)に干(ほ)された見事な稲束(いねたば)に目を留(と)め、二穂(ほ)を買って帰ります。１つの穂は自分で、もう1つは玖珂(くが)の親戚(しんせき)に分けて育てます。2人は改良(かいりょう)を重ね、やがて大粒(おおつぶ)で艶(つや)があり、おいしく、貯蔵(ちょぞう)に強い良質(りょうしつ)な米を得(え)て、西宮にちなみ「都稲」と名付(なづ)けます。都稲は大坂市場(おおさかしじょう)で評価(ひょうか)され、藩主の御膳米(ごぜんまい)に用いられ、防長米(ぼうちょうまい)の主力となりました。
　五左衛門は1890（明治23）年に亡(な)くなりますが、都稲の早生種(わせしゅ)が小鯖(おさば)村の伊藤(いとう)音市(おといち)によって作り出され「穀良都」と名付けられます。評判(ひょうばん)を呼んだ都稲や穀良都もその後栽培(さいばい)されなくなりましたが、近年、穀良都などをもとに山口県オリジナルの酒米(さかまい)「西都(さいと)の雫(しずく)」が作り出され、評判となっています。