山口県の先人たち 山口県ひとづくり財団

日産自動車株式会社 提供
山口日産自動車株式会社・萩博物館 協力

　1880(明治13)年、旧萩藩士(きゅうはぎはんし)の家の長男として山口市で生まれました。東京帝国(ていこく)大学(現 東京大学)を卒業後、学歴(がくれき)を隠(かく)して1人の職工(しょっこう)として芝浦製作所(しばうらせいさくしょ)(現 東芝(とうしば))に入社します。やがてアメリカへ渡(わた)って働(はたら)き、そこで学んだ新しい技術(ぎじゅつ)を元に、大叔父(おおおじ)の井上馨(いのうえかおる)らの支援(しえん)を受けて北九州市で戸畑鋳物株式会社(とばたいものかぶしきがいしゃ)(現 日立金属(きんぞく))を創業(そうぎょう)しました。
　1928(昭和3)年、苦境(くきょう)に陥(おちい)っていた久原鉱業(くはらこうぎょう)を妹婿(いもうとむこ)の久原房之助(ふさのすけ)から引き継(つ)ぎ、日本産業(さんぎょう)株式会社に改組(かいそ)し、日産自動車や日立製作所などを傘下(さんか)に持つ巨大(きょだい)な「日産コンツェルン」へと発展(はってん)させました。中でも日産自動車では、日本初の自動車一貫(いっかん)生産を始め、日本の産業の発展に貢献(こうけん)しました。
　また、エンジニアへの道を勧めた井上馨に感謝(かんしゃ)し、人づくりに熱心(ねっしん)だった井上の志(こころざし)を継ぎ、学生に奨学金(しょうがくきん)を貸与(たいよ)する井上育英会(いくえいかい)を創設(そうせつ)しました。1953(昭和28)年には参議院(さんぎいん)議員となり、政治家として中小企業(きぎょう)の振興(しんこう)に尽力(じんりょく)。満(まん)86歳(さい)で亡(な)くなりました。

参考資料

• Vol 33 日本の近代を拓いた萩の産業人脈　－起業家たちの情熱と挑戦－　（樋口尚樹 著）萩ものがたり

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